ABA(応用行動分析)療育は、多くの研究で効果が証明され、発達障害の子どもたちに対して有効な手法とされていますが、一方でいくつかのデメリットも指摘されています。
この記事では、ABA療育の主なデメリットと、それをどのように軽減できるかについて解説します。
- 子どもへの過度な負担
ABA療育の一つのデメリットは、子どもに「定型発達児に近づけること」を強く求めすぎることです。行動を社会の基準に合わせようとしすぎることで、子どもに無理をさせてしまう可能性があります。特に感覚過敏や特定の特性を持つ子どもにとって、このようなアプローチが過度になると、二次障害を引き起こすリスクがあります。ABA療育を進める上では、子どもの特性を十分に尊重しながら、無理のない形でサポートすることが重要です。 - 自己表現の抑制
ABA療育は、望ましい行動を強化する一方で、子どもが自分の感情や意思を表現することが難しくなる可能性もあります。社会的に適応する行動を学ぶ過程で、自己主張が抑制されてしまい、本来の自分を表現できなくなる場合があります。特に自閉スペクトラム症(ASD)を持つ子どもたちにとって、これは大きな課題となり得ます。ABAを進める際には、自己表現の自由を守りながら、バランスを取ることが求められます。 - 長期的な幸福感への影響
ABA療育を通じて社会的に適応できるようになったとしても、すべての子どもが内面的な幸福感を感じているわけではないという指摘もあります。成功とされる療育を受けた子どもの中には、「誰かの期待に応えただけで、自分の本当の幸せを感じたことがない」という声もあります。ABAを行う上では、社会的適応だけでなく、子どもの内面的な幸福感にも目を向けることが大切です。 - 継続の難しさ
ABA療育は効果を出すために継続的なサポートが求められますが、これは保護者にも大きな負担となることがあります。特に、日常的に子どもの行動を監視し、適切な対応を続けることは精神的に疲労がたまりやすいものです。イライラやストレスが溜まり、家庭内での関係にも悪影響を及ぼすことがあります。ABA療育を進める際には、保護者自身のケアも忘れずに行うことが、長期的な成功の鍵となります。
ABA療育は、科学的に効果が証明された方法であり、発達障害を持つ子どもたちに有効な支援を提供しますが、過度な負担や自己表現の抑制、継続の難しさなどのデメリットもあります。子どもの特性や幸福感を尊重しながら、無理のない形で進めていくことが、成功のポイントとなるでしょう。また、保護者自身もケアを忘れずに行い、持続可能な支援体制を整えることが大切です。
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